雨量

雨量とは

雨量とは、降った雨がどこにも流れ去らずにそのまま溜まった場合の”水の深さ”です。
すなわち、「降った雨水が、別の場所に流れ出さず、蒸発せず、地面などにしみこまない状態で、どのくらいの深さになるか」ということを表しています。
測定単位は、ミリメートル(mm)です。
本サイトで提供している雨量の情報は、氷雪を溶かして観測する“等価水深観測”で得られた降水量データですので、正確に言えば「降水量」です。

降水量

大気から降下する水を降水と呼びます。通常、降水は雨と雪に大別されます。雪も含めた降水量の観測は、我が国では積雪寒冷地で必要になりますが、一般的に氷雪を溶かして水量(mm)で観測する“等価水深観測”という方法で行われています。
現在、雨水に限定した「雨量」でなく、氷雪を含めた「降水量」を観測することが原則となっています。

地上雨量(地点雨量)とレーダ雨量

地上に設置した観測機器を用い、ある地点において行われる降水観測の測定値は、「地上雨量」あるいは「地点雨量」と呼びます。
また、地上雨量のうち、各種の観測データを無線で自動送信するテレメータというシステムを利用して自動観測しているものを、「テレメータ雨量」と呼ぶことがあります。
一方、レーダ雨量計を用いて面的な雨量分布を捉えたものを「レーダ雨量」と呼びます。

100ミリの雨量

「1日で100ミリの雨量」というのは「1日で雨が水深10cmまで溜まる」という意味になります。このような状況は、「たった10cmだから大したことはない」と思われるかもしれませんが、仮に流れ出さなければ、田畑や道路や建物の上など、あたり一面に10cm溜まることになります。実際は、この雨水が川や排水路などにどっと集まってくるわけですから、浸水被害の可能性もある大雨と言えます。台風や梅雨末期の大雨では、局地的に1日あたり300~500ミリを越える雨が降ることも珍しくありません。

観測方法

1.地上雨量

地上雨量は、現在一般的に、「転倒ます型雨量計」という観測機器で測定されています。

転倒ます型雨量計

雨量計は、まず直径20cmの円形状の受水口で、降水を機器の中にとらえます。受水口は「ろうと」のようになっています。降水は、ろ水器を通過した後、中央の転倒ますに入り貯められます。1mm(または0.5mm)相当の降水量に達するとその重さで転倒ますは倒れます。転倒ますは左右についていて、シーソーのような構造になっており、降ってきた降水をもらさず受けることが出来るようになっています。
この転倒した回数を電気信号に変えて計測することで、降水量を測る仕組みです。たとえば、10ミリの雨が降った場合、転倒ますは左右を合わせて10回(または20回)転倒したことになります。
降雪寒冷地で使用されている雨量計は、冬季にはヒーターにより雪を溶かしてから降水量を測るように作られています。

※降雪寒冷地域では、ヒーターにより雪を溶かす方法が一般的ですが、この方法では「ろうと」状の受水部に積もった雪が融解するまでに蒸発で失われたり、弱い雪の場合、ヒーター熱の上昇気流で受水部に雪をとらえられないこともあります。この欠点を解消するため、次のような観測機器を使用することがあります。

いっ水式雨量計

転倒ます型雨量計を主体にした計器で、受雪部が水槽になっていて、その中に一定量の不凍液(オイル)を入れ、周囲からヒーターで一定温度に保温できるようになっているものです。

温水式雨量計

転倒ます型雨量計に温水による保温装置を設けてあり、寒冷地における降水・降雪から降水量を観測することができるようになっているものです。

2.レーダ雨量

レーダ雨量の観測方法については、「レーダ雨量」をご覧ください。

観測データの精度

転倒ます雨量計の測定精度の誤差は、次のとおりです。

累加雨量

降り始めからその時刻までの雨量の合計量を「累加雨量」といいます。無降雨が一定期間(期間の取り方は、観測所ごとに異なりますが、通常6時間程度となっています)続くと累加雨量がリセットされ、その後に雨量を検出すると新たな雨(降り始め)とします。

※大河川の下流部での水位や土砂災害の危険性等は、この累加雨量に大きく影響を受けるので、これらの見極めに有効な情報となります。

※一方、小河川の水位や、内水(河川に排水できずに氾濫すること、または、氾濫した水)等は、短時間雨量(時間雨量、10分雨量など)に大きく影響されます。

本サイトで提供している地上雨量情報

国土交通省水管理・国土保全局、気象庁、(独)水資源機構、都道府県が設置した雨量計で10分ごとに観測される「テレーメータ雨量」のデータを提供しています。

観測所の数については『「川の防災情報」の提供情報』をご覧ください。

※降雨災害の今後の危険性(「累加雨量」の項、参照)を認識するには、いろいろな角度から雨量を見ることが必要なことから、次の種類の地上雨量情報を提供しています。

項目 解説 備考
時間雨量 正時から正時までの1時間の雨量で、全観測所で測定され、雨量の基本的な指標となっています  
10分雨量 過去10分間の雨量で、10分毎の詳細な雨量を測定したもの  
30分雨量 00分~30分または30分~00分の30分間の雨量で、30分毎の詳細な雨量を測定したもの パソコン版で提供
60分雨量 過去60分間の雨量で、隣り合った10分雨量を6個合わせて60分間の降雨量としたもの パソコン版で提供
累加雨量 雨が降り始めてからの雨量を合計したもの  
流域平均雨量 降雨を1つの流域で面積平均したもの 市町村向けで提供

※観測誤差や観測センサーの異常、通信上の異常等により正しい値で表示されない場合があります。観測データの異常値、欠測についての情報は、「お知らせ」に掲載していますので、ご参照ください。